【ヒゲ先生のコラム】国際協調が終わるとき/憲法記念日に
世界のさまざまな国が仲よく交易(こうえき)しあうことを国際協調といいます。いうまでもなく、加工貿易で経済を成り立たせているわが日本国は世界が安定的に国際協調している時代が理想です。
ところで、みなさんは、国際協調の反意語がブロック経済であることをご存じだろうか。
ほかの国のことはかまわない。自分の国さえ豊かになればそれでいいという自国優先主義は、ブロック経済です。
中学の歴史で学ぶ顕著な例として、ブロック経済は、かつて、いつ起こったかをざっとまとめておきましょう。
第一次世界大戦で、たくさんの馬鹿馬鹿しい人名が失われた後、世界は、もう二度とこんな残酷な戦争はしたくないね、とばかり、国際協調の時代にはいりました。みんな仲よくしようと。
しかし、戦時中は、アメリカや日本はモノを作れば作るほどじゃんじゃん儲かる時代でした。自動車もラジオも飛ぶように売れる時代。景気がいいから株価もどんどん上がる。いわゆる、バブルといってもいいかもしれません。
そして気がつくと世界は作りすぎたモノで溢れ、急にガクンと売れなくなる。となると、上がりすぎた株価は勢いを失い、ニューヨークの株式相場は恐ろしいほど下がり、急に不景気になる。いわゆる世界恐慌が起こります。
すると、世界中の国々は、自国の経済を守るために、それまでの国際協調をやめ、自分さえよければいいというブロック経済政策にはいっていきます。
そんな中で、日本やヒトラーのドイツは、戦争によって国をたてなおそうとしました。それが、連合国と大げんかになり、あれほど戦争はもうしたくないねとちかっていたはずなのに、われわれ人類は第二次世界大戦に突入する。
原爆が投下され、その後、我が国はボロボロに負けたのはご存じですよね。
さて、自国中心主義って、どっかで耳にしていませんか?
そうです。今、アメリカ合衆国のトランプ大統領は、自国を豊かにし、Make America Great Again と叫びつつ、急に高い関税をふりかざして、世界中を動揺させています。
世界中の国々がギスギスし始め、まさに国際協調時代の終わりの時代、それが今です。
もしかすると、何かの弾みでまた大きな戦争が始まってしまうかもしれない。
令和7年の憲法記念日に、歴史がくりかえされませんようにと、祈るばかりです。
日本放送作家連盟員
日本脚本家連盟会員
深 谷 仁 一